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首都圏実行委員会・埼玉県議会「「高校授業料の実質無償化の見直しを求める意見書」採択に対する抗議及び声明

埼玉県議会「高校授業料の実質無償化の見直しを求める意見書」採択に対する抗議及び声明

 

東北地方太平洋沖地震災害および津波災害、並びに福島原子力発電に関わる災害を被った皆様にお見舞い申し上げます。またこの災害に対して支援援助に尽力を尽くしている皆様に心から敬意を表します。

 

さて、埼玉県議会は震災後の3月15日に、「高校授業料の実質無償化の見直しを求める意見書」が賛成多数で採択されました。自民党県議団の提案で本会議に突然動議として提案されたものです。

 

この内容は「国においては、高校授業料の実質無償化について、早急に見直しを行うように強く要望する」と言うもので、その理由は「無償化は義務教育だけである」「高等学校教育まですべて租税で負担する必要なく、高校授業料の実質無償化は高等学校教育の本来のあるべき姿ではない」「国債依存度が約50%にも達する中、本制度の実施に伴い国の財政支出が年間約4千億円も生じることは、その費用対策効果からも多いに疑問視される」「被災地の早期復旧と生活再建こそ急務の課題であり、本制度を実施するゆとりはない」をあげています。

 

意見書の採択手続き及び理由それぞれについて、私たちは問題点があると感じています。それぞれの反論については後日行うとして、以下の理由により、この意見書採択について抗議し撤回を求めます。また全国の県・市町村でもこのような意見書の採択がなされないように願っています。それと同時に、教育費無償化に向けて前進的な論議が深まることを望みます。

 

1.高校生の意見を聞かずに、一方的に「見直し」採択は良いのでしょうか。「授業料無償化(授業料不徴収)」は、私たち高校生が教育費無償化にむけて、アンケート調査とその報告会・パレード・記者会見など様々な行動により訴え続けてきたもので、高校生の切実な願いが込められています。高校生の意見および願いを無視する採択には大きな疑問を感じます。またこれら高校生の意見及び願いは世界の人々の願いでもあり、その意味で今回の「採択」は「国際人権規約」や「子どもの権利条約」に逆行するものです。

 

1.私たちの要望する「教育費無償化」は、就学前教育から義務教育・後期中等教育・高等教育にかけて、修学と学力を保障する、一人ひとりに対する「教育の機会均等」であり「教育のセフティネット」でもあります。それはどのような事態にも機能するものです。高校における授業料無償化(授業料不徴収)はそれに一歩近づいたものです。また高校生は卒業後、「社会人」として活動します。教育の成果は社会に還元されるものと考えます。今回の震災を契機に、よりよい「教育のセフティネット」を構築すべきと考えます。本来ならば震災の緊急時に行われる「採択」はこのような考え方に立つものであるべきと考えます。

 

1.今後、被災者が全国に一時避難することが考えられます。その際、私たち高校生が心配することは、被災避難した「高校生」が充分な「学び」を保障される「受け入れ体制」についてです。これらの施策については専門家にお任せしたいと思います。ただし、今後、被災者を初め、多くの高校生が、経済的影響により「教育費」に対して苦労することが予想されます。その意味で早急に「給付型奨学金」の創設と支給をお願いします。

 

                           2011年3月22日
                          「お金がないと高校に行けないの!」首都圏集会実行委員会

 

 


 

震災直後に自民党議員が中心となって議会に提案され採択された意見書

 高校授業料の実質無償化の見直しを求める意見書


 「社会全体で子どもを育てる」という理念は、理念としては素晴らしいものであるが、現金給付をすることがすなわち「社会全体で子どもを育てる」ことになるわけではない。
 そもそも、高等学校教育とは義務ではなく、自らの意志で学びたい者が参加する自己決定の場である。憲法で定められているとおり、無償化されるのは義務教育だけである。
 高等学校教育まですべて租税で負担する必要はなく、高校授業料の実質無償化は高等学校教育の本来のあるべき姿ではない。
 平成23年度予算案において、国債依存度が約50%にも達する中、
本制度の実施に伴い国の財政支出が年間約4千億円も生じることは、その費用対効果からも大いに疑問視されるところである。
 おりしも、現在、激しい地震動と大規模な津波により東北地方を中心に甚大な被害がもたらされている。被災地の早期復旧と生活再建こそ急務の課題であり、本制度を実施するゆとりはない。
 よって、国においては、高校授業料の実質無償化について、早急に見直しを行うよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成23年3月15日                   

埼玉県議会議長  小谷野五雄

 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣           
 総務大臣               様
 財務大臣
 文部科学大臣
 内閣官房長官