アピール文 

政府の「中等・高等教育の漸進的無償化」の表明を
契機に、「だれもが安心して学べる社会」を実現しよう
国際人権A 規約第13 条2項(b)(c)の早期『留保』撤回を求めるアピール


2012 年2 月、日本政府は国会において高校・大学などの中等・高等教育を段階的に無償化する国際人権規約の条項について、その留保を撤回する手続きを進めることを表明しました。
30 数年来、多くの国民が求めてきた教育無償化の課題が前進することに、私たちは期待するとともに、この政府表明が高校授業料不徴収等の現行制度に留まることなく、真の教育無償化を実現することを求めます。国際人権規約は世界共通の人権ルールであり、条約批准国には誠実な履行が求められます。日本政府は1979 年に批准しましたが、そのA規約(社会権規約)13 条(教育についての権利)2 項のうち、中等教育と高等教育の無償教育の漸進的な導入を規定した(b)(c)については「留保」し、2001 年には国連社会権規約委員会(現・国連人権理事会)から、留保撤回を求める勧告がだされても国内での適用を拒否してきました。そのために現在では条約批准国160 ヵ国中、この条項を留保する国はマダカスカルと日本の2 ヵ国のみになっています。
日本国憲法第26 条は、すべての国民に「能力に応じてひとしく教育を受ける権利」を保障し、教育基本法第4 条は「教育の機会均等」を保障する責任が国および地方公共団体にあることを明記しています。しかし、日本の教育費に占める公費負担割合(対GDP 比)は、OECDによれば、全教育段階で3.3%(OECD 平均5.0%)、高等教育段階で0.5%(OECD 平均1.0%)とOECD 加盟国中、いずれも最下位であり、大学で授業料をとり、給付制奨学金がない国は日本だけになっています。その結果、東京大学の調査では、親の年収が1,200 万円以上の家庭では4 年生大学の進学率が62%に対し、年収200 万円未満の家庭では28%と経済格差が教育格差を生み出しています。
一方、学生生活では長期の不況から家からの支援が減少し、10 年で生活費が3 割減少する(日本学生支援機構「学生生活調査」大学昼間部)厳しい状況の中で、奨学金が命綱になっています。
日本は13 条2 項(e)「適当な奨学金の導入」を批准していながら、公的奨学金は、高校も大学等も貸与制のみであり、大学では大半が有利子です。いま、若者の雇用破壊が拡大する中、奨学金の利用は卒業と同時に数百万円の借金を背負うことになり、将来の返済に対する不安が広がっています。特に昨年は東日本大震災・原発事故の被害から「これ以上借金はできない」と進学をあきらめる事態も広がり、返す必要のない給付制奨学金の導入が強く求められています。
「社会全体で子どもの学びを支えます」という政権公約から、2010 年4 月「高校授業料無償化」が始まり、教育の無償化に向けた一歩が踏み出されました。その効果は「経済的理由による高校中退」が大幅に減少(2009 年度1647 人→2010 年度1007 人)していることに表れています。
しかし私学は「就学支援金」とされ、公立も授業料以外の学校納付金の負担が重いなかで給付制奨学金の予算化が3 年連続見送られる等、高校段階でも無償化への課題は多く残されています。
大学では2012 年度予算で授業料減免の対象人数がわずかに拡大(国立8000 人増、私立2.1 万人増)したものの、昨年はじめて概算要求化された給付制奨学金は実現されませんでした。
生徒・学生とその保護者も教育費負担が限界にきている今こそ、私たちは訴えます。「教育は人権」であり「教育こそが日本再生の基盤」であることを、そして一日も早く日本政府がその立場に立ち、国際社会とともに「だれもが安心して学べる社会」の実現のために歩みを進めることを。
以上
2012年5月10日
国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会(奨学金の会)

6月11日 院内集会に参加しました。

奨学金の会が中心で院内集会をして実行委員会の事務局長 梅井が発言をしました。奨学金の買いニュースに発言が掲載されてます。

 

奨学金の会ニュース
発言が掲載さえています。
news57 院内集会.pdf
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